| 追憶 その 「A Fly Fisher's Life」を読んだ当時、私は忍野や千曲川に夢中で通っていた。ドライフライで渓流のヤマメやイワナを釣り、忍野でウェットフライの威力に驚嘆していた時代だったから、リッツの本を読んでも、その後、パリに出掛けて直接教えを請うた後でも、まさか自分が将来サーモンやシートラウトを釣ることになろうとは、想像だにしなかった。
その私が本の中で見た川、その釣行記を読んだリバー・エムで釣りをする機会が本当にやって来たのだ。そう思うと何かしらこみ上げて来るものがあった。
思えば数年前、スコットランドのリバー・スペイ ( River Spey ) やリバー・テイー (River Tay )
を釣った時、ケルソン( Kelson )やトラハーン( Traherne )と同じ道を歩き、同じ瀬を釣ることに感動した。リバー・ツイード
( River Tweed ) を釣った時も、ジョン・スコット( John Scott )やジェームス・ライト( James
Wright )の影を感じた。特にビマーサイド・ビート( Bemersyde Beat )を釣る時など、気持ちは140年前に飛んでいて、ジョック・スコット(Jock
Scott )が初めて泳いだ時のように、私もそれを投げたくなったものだ。
彼らは遠い過去の偉人だが、リッツの場合は直接会ったことがあるだけに、時の流れや釣り人生の不思議に想いを馳せる一刻だった。 |