| 2投目、グングン、とアタリが来た。とっさに寒河江川ではずした大鱒のアタリを思い出した。重量感のあるアタリだ。合わせてはいけない。頭に染み着いている。合わせないでラインを張った。すかさずゴンゴンと強い引きが来た。間違いない。
グリーンのスペースシューター17ftが絞り込まれる。「ついに来た。」胸がどきどきして、ちりぢりになってしまいそうな気持ちを、ぐっと、たぐり寄せる。ロッドが上下に絞られ、水中で魚が左右に横倒しにもがいている感じがする。しかしあわてることはない。一定のテンションを鱒に課しておくだけだ。
まもまく、マスの抵抗の弱りを感じた。静かにランディングネットの柄をのばした。リールを巻きにかかった。丁寧に、丁寧に。鱒をびっくりさせないように。
近くに魚が寄ってきて、反転、ヒラを打った。まだ薄暗い朝の水面が銀色に光った。
サクラマスだ。
淵の中から岸辺の方に誘導されてきた魚が浅場に来て少し抵抗した。私の近くに寄ってきて水中で左右に横倒しになって体をギラつかせる魚。魚はシングルフックのブラックスピーンをがっちり喰わえていた。
トレブルフックのプラスチックチューブグレイイーグルにきたものとばかり思っていたが、小さ目の黒いフライを口の端に付け横を向いたマスを見て少しびっくりした。しかしフライは閉じた口の横端にがっちりセットしされていたようで、それを確認した瞬間、不安はわかなかった。
銀色の魚体はすでに私の足下まで寄ってきている。リールとロッドは理想的にマスの動きを封じてくれたように思った。葦の岸辺までマスを寄せた。「よし、ここでネットですくい取ろう。」そう思った。長い柄の、口の広いネットは使いやすい。なにも不安はなかった。マスを静かにすくい取った。
「やった。」「とうとう。」
長い間、出会いを待ったサクラマスはメジャーを当てると、ジャスト60センチあった。
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