| 根がかりとファイト・・・?
毎週金曜日の夜は、車に布団を積んで、先輩達が教えてくれたポイントを釣り歩いた。いざ実戦となると、ラインはトラブルし、フライは飛ばせない、ウェーディングはヘッピリ腰。でも足しげく釣り場に向かった。
サクラマスのアタリを味わう事無く、何日かが過ぎた。本命の川へ向かう途中、以前聞いた事のあるポイントに差し掛かった。そこがなぜか気になった。車をUターンさせ行って見る。ほんの様子見のつもりだったが、着いて見ると実に良い感じだ。午前10時頃、誰かが釣りをした後ではあるだろうが、今日一番乗りの気持でフライを投げ始めた。テトラが対岸に100メートル以上並んでいる。素人の私から見ても最高のポイントだ。頭からキャスティングを開始し、テトラの切れ目に差し掛かった頃、「ムム、ここだな・・」と予感。テンポを遅らせ念入りに攻めた。
「いや〜、大事な所で根掛かりだー!・・んっ・・・?」
次の瞬間、根掛かりがゴンゴンと暴れ始めた。ラインが凄い勢いで出て行く。バックラッシュしないよう何とかリールを抑え、根掛かりとのファイトが始まった。「とにかく時間をかけてゆっくりやれば大丈夫・・・」と震えた声で自分に言い聞かせた。「これが、サクラマスの引きか、このロッドのしなり、この引き、そりゃぁハマルはなぁ〜」
夢中だけど次第に落ち着いて来ているのが分かった。どれ位の時間ファイトしたかはわからないが、やっと魚体を確認出来る所まで近づいて来た。「ありゃりゃ、でっけぇ!」北海道のサクラマスに比較して、明らかに太く、大きい。60cmは超えている。俄然気合いが入る。「バレるなよぉ!!」
近くに寄ると走り、又寄っては走るの繰り返しだ。最後はなんとか岸にずり上げようと、握っていたロッドを放り投げ、獲物を両手で掴んだ。・・・ハンドランディングに成功した瞬間、その場に座り込んでしまった。胃と、十二指腸のあたりに痛みが走る。息は荒く、頭の中は真っ白だ。キャスティングもままならない私がこんな事。良いのだろうか!?
アクアマリン・ピンク-ブルーをがっちりくわえた64cmのサクラマスに感謝し、静かに撫でてやった。車の中で一部始終を見ていた妻が、半狂乱の私を見て大笑いしている。念のためにと持ち歩いていたストリンガーにサクラマスを縛り、2ラウンド目に入ろうとロッドを持ち上げた。「なんだなんだぁ!?」
折れたティップがラインを伝い手元に落ちて来た。『目が点・・・』その日、2回目の座り込みとなってしまった。強制終了・・ ・帰宅・・。積んで来た布団や食料・焼酎はそのまま。車中いろんな事を思い出してニヤニヤしていると、また笑われた。「あいつに教えたら悔しがるだろうな! ヒヒヒ・・」と友人の顔がちらついた。
真っ直ぐイーストウッドに向かい、ビギナーズラックの報告と剥製製作の申し込み、折れたロッドの修復と、予備ロッドとして1612Dの注文とあいなる。
|