TROPHY CLUB
2003ガウラ釣り紀行 Salmon & Seatrout 1.9kg - 9.2kg!
平野 秀輔(ひらのしゅうすけ) 東京都在住 Shusuke Hirano in Tokyo, Japan.
フライフィッシング歴20年/サーモンフィッシング歴4年  元全日本キャスティングチャンピオン

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今回の最大サイズは9.2kg。 少々鼻曲がりのオス。目下のところ、自己記録。


Data of My Trophy
魚種 Species サーモン&シートラウト Atlantic Salmon & Seatrout
体長 Length 60cm - 98cm
体重 Weight 1.9kg - 9.2kg
フライ Fly & Hook Size Em Shrimp tied on SD3 #6, #8
Thunder Mouse tied on Hybrid Tube 2"
ロッド Rod KS SS1712D Limited Hard Action
リール Reel SU Salmon II The Cherry Salmon Limited
釣った日 Date of Catch 2003/07/06 - 13
釣った場所 Place of Catch In the River Gaula, Norway




今回の立役者たち。SS1712D Limited Hard Action、SU The Cherry Salmon Limited、エムシュリンプSD3#8と#6、サンダーマウス2インチハイブリッドチューブ。
(AF Nikkor 50mm F1.4D)

フライ再考・・・

昨年のガウラからの帰路、飛行機の中でいろいろ反省をしてみたが、ことフライについては、次の二つを考えていた。

 1つはエムシュリンプのハックルをもっと多く、かつ長くすること。巻いていったエムシュリンプはその作りが貧弱で、川原に立ったときにヘロンをもっと多く長く巻いとけば良かったと後悔した。

 2つ目は 黄色いストリーマーを用意すること。去年のガウラは雪が少なかったせいか川はガウラの名前どおり黄色をしていた。それはちょうどイエローに染めたイーグルのような色で、それを使ったストリーマーがほしいと思った。

 日本を発つスーツケースにしまいこんだ約250本のフライの中には、去年よりハックルを長く厚めに巻いたエムシュリンプと、イエローイーグルのスクイッドフライが眠っていた。まさかこの2つのフライだけで魚を釣るとは思ってもみなかった。



例によって川へ直行

 十分すぎるほどの日の光を浴びながら、飛行機はトロンハイムに向かっていく。予想通り山には雪がない。空港で迎えてくれたのは釣りにはありがたくない晴れ渡った空だったが、気のせいか何か去年よりひんやりしている。久しぶりの左ハンドル・右側通行に緊張しながらE6を一時間以上走って、やっとストーレンホテルに着いたのは日曜日の午後10時過ぎだった。

 ホテルではNFCのバレンティンが出迎えてくれた。早速情報を聞くと先週は60本以上の魚がNFCで釣れ、特に週末近くに増水があったので今は好調だという。そんなことを聞くとゆっくり休む気にはなれない。ビートのローテーションはC、そこにはローウォーターの好プール、ティルセットがある。早速出かけると彼に言うと、「先週はフローティングラインにグリーンワスプの#8、エムシュリンプも良かった。」と教えてくれた。着替え用のスーツケースを部屋に入れ、タックルの詰まったもう一方のスーツケースを車の中で開けると、一目散にティルセットの左岸へ直行した。実は昨年も一休みもせずにレナに直行し、2本をフッキングし1本をキャッチしている。この時間帯は相性がいいのだ。






ティルセットプール。左岸からフライを投げ込むのは右側の岩ぎりぎり。
(AF-S Zoom Nikkor ED24-85mmF3.5~4.5G)



ティルセットのシブシブ・サーモン

 車止めから川原をしばらく歩いて、ティルセットの左岸に立つ。先週に増水したといっても水はやはり少ない。バレンティンが言っていたようにフローティングラインをセットし、リーダーは夜だから太目の−6Xとした。ローウォーターのフライボックスを開け、いったんグリーンワスプを手に取ったが、川を良く見ると去年とほぼ同じで、深い所は黒く見え、岸に近づくにつれて茶色を経て黄色くなっている。ここはエムシュリンプの出番だろうと#8をリーダーに結んだ。

ローウォーターの定番どおり、速い流れの対岸すれすれにフライを落としていく。ロッドはSS1712D Limited Hard Action、1712Hだ。ローウォーターでは本来出番がないロッドだが、今年に入って一番練習で使っているロッドであることと、何よりもそのティップの強さゆえループが乱れにくいことが一番気に入っている。つまり近距離でもアキュラシー性を重視すれば、このロッドに敵うものはないのではないかと考えている。

 対岸すれすれに投げた3投目、フライが流心を過ぎる直前、リールが静かに逆転を始めた。「サーモンだ。」かすかな振動が続いている。沢田さんが6月にweb上で報告したような魚で、いわゆるシブシブ・サーモンだ。少しずつ、少しずつリールが逆転する。しかしその勢いは誠に頼りない。そろそろいいかなと1分ほどしてからロッドを岸に向けフッキングに入ると、なんとフライはあっけなく水中からすっぽ抜けてきた。「あーあ、まだまだ早かったのか。」それから無我夢中でフライの流れが悪くなるまで、プールを下りながら投げ続けたが何も起こらない。ムービングしているサーモンは行ってしまったのだろうか。




フッキングまで7分

 気を取り直して最初の地点に戻り、また対岸すれすれにフライを落としていく。さっきより暗くなったせいか2度ほど対岸を釣ってしまう。針先の甘くなったフライをはずし、付け替えた新品のエムシュリンプ#8を崖の手前に叩き付け、対岸に沿ってできている泡にそれが吸い込まれ水に馴染んだ頃、またあのシブシブ・コンタクトがやってきた。

 まず、じっとしていた。魚が動かないので何もできない。でもいつまでも我慢できない。不安だからいつも魚の振動を感じていたい。こうなったらラインを送ってフッキングに持っていくか、と思っていた矢先、魚のテンションが減った。まずいと思ってリールをそっと巻くと、またテンションを感じることができた。

  ひょっとすると、魚は上流に上がるつもりなのだろうか。半信半疑でゆっくりと魚の振動を感じ続けられるようにリールを巻き続けた。長い、こんなに長くゆっくりとリールを巻いたことは一度もない。たかだか20メートル足らずのフラットビームがトップガイドに吸い込まれるまで5分以上かかってしまった。そして、とうとうフライラインまで巻き始める。リーダーまで入ってしまったらどうしよう。ひょっとしてこのまま取れるのか。なんて馬鹿なことを考えていると、サーモンは岸が見えたせいか、ゆっくり反転して下流に泳ぎ始めた。

  そのスピードはサーモンが通常泳ぐような速さだったが、それまでの弱い振動ではなくしっかりとリールを逆転させていった。「よし。」と、リールを押さえロッドを岸に向け、強くかつゆっくりとラインを張った。ロッドが十分にしなり、フッキングの完了を知らせる。と同時に対岸下流に向かって、サーモンが大きくジャンプした。やはりあいつは今まで異変に気づいていなかったのだ。正確な時間はわからないがおそらくフライを捕らえてから7分くらいは経っているだろう。それからのファイトはなかなかだった。寄せては流心に走られ、ある時は対岸すれすれまで走り、さらにジャンプを3回ほどした。




7月2週目のファーストフィッシュ8.1kg!

  初日のせいとファイトの仕方が悪いのと両方で、背中がつりそうになり、結局15分以上もかけてやっとあがってきたのは、最初の一匹には十分嬉しいサイズの少し鼻が曲がった雄だった。釣り上げたサーモンの口を見ると、左側の上顎と下顎の付け根にダブルフックが深々と突き刺さっている。抜こうとしたが少し強く引いたくらいでは抜けない。完璧なフッキング。沢田さんの6月のレポートを見なかったら、こうは行かなかったろう。

 初日の初っ端から魚が釣れるのはやはり嬉しい。一気に行こうとその後も交代時間の午前4時まで、左岸から右岸の際へフライを投げ続けたが、もう何も起こらなかった。

 さてティルセットの左岸から車止めまでは川原をだらだらと歩かなければならない。中型のサーモンだがやはり重い。ここは沢田さんよろしくサーモンを担いでいこうと思い、初めて流木の切れっ端にサーモンをくくりつけ、それを肩に背負って車に戻った。

 しかし車の中でしばし落ち着き、助手席の下に鎮座したサーモンをじっくり見ると何かおかしい。シーライスこそ付いていないが体色は銀色だ。ただ妙に腹がへこんでいる。NFCのクラブハウスで計ると96cm、8.1kgと重さが少なめだ。でもNFCの7月2週目の最初の魚だ。誰も記入していないエントリーシートに、一番乗りで記入するのは最高の気分だった。この魚はその後、ケルトだとか逃げた養殖だとかいろいろな論議を呼んだようだ。ケルトとは昨年あがったサーモンのことで、海に帰らず川にとどまってしまったものだ。どちらでも良いが、なんとなく食べても不味そうな気がしてきた。


NFC7月2週目のファーストフィッシュ。8.1kg、96cm。やはり腹がへこんでいる。
(AF Nikkor 35mm F2D)


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