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ストライク
冬の寒気が逆流した春の天気はめまぐるしい。雲の流れも速く日差しと風雨が交互にやってくる。ポイントに立つと風は強いアゲンスト。風雨、そして不意に霰が襲ってきた。
けれども何かに突き動かされのか、そんなことにはかまわずロッドを振りはじめた。SS1712Dリミテッドハードアクション。過酷な自然条件に立ち向かうために設計されたといわれるロッド。強い向かい風に立ち向かうためにそのロッドを求めた。自分の使っているタックルに不安はない。万全だ。
何投かした。来るとすればこの辺だ。スイングしているフライが何時底を擦り、引っ掛かるのか、そう思ったとき、鈍いストライク。
何か来た。とりあえずは慎重にゆっくりロッドを絞り、フックアップした。始め、魚はあまり動こうとしなかった。カワザイ(私の地方でニゴイのこと)か?
しかし、引きは次第に強くなっていった。ロッドがぎゅーっとしぼられてきて、リールからラインが引き出され始め、こんなにすごい引きは外道ではないと思うようになった。強い流れをロッドを絞りながら少しずつ自分の前方に来た魚が不意に水面に浮上、鉛色のしっぽが水面を叩いた。
「魚はぎんいろだ!」
そのとき初めて自分はチェリーサーモンと対峙していることを認識した。私が慎重になったと同時に向こうは力を出し始めた。しかし、冷たい強い流れは私に有利だったのか、重く長い戦いに勝ったのは私だった。
おおきい。
歓喜。
---つづく---
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