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Tackle Impressions

驚愕するばかりの DSTフライライン

力石 節夫(ちからいしせつお) 東京都在住 Setsuo Chikaraishi in Tokyo, Japan.
フライフィッシング歴25年/サクラマス歴7年
 長い間フライラインにさほどの期待はなかった。だから、一般によく知られたメーカーのフライラインを漫然と使用し、それはパワーウエットを行うようになってからも同様であった。ただ悩みはあった。己のキャスティング能力は棚に上げてのことだが、大きなフライを40ヤードを超えるポイントへコントロールよくきっちりとターンさせることや、もっと飛距離が欲しいことなどであった。さらに、ラインを短くして遠くへ投げようとしたとき、ラインがクシャクシャになって飛ぶ、オーバーターンを起こさないで欲しいとも思っていた。

 そんなラインなんてあるものか、と思っていたのだが、KenSawadaのDSTラインが発売されるやいなや12番を全種類購入し、三シーズン使用してみて、このラインこそが望んでいたすべてをかなえた優れものであることを実感し、こうなれば、KenSawadaのすべてのラインを手に入れようかと、財布のなかをみて思案に暮れているのである。

 とまれ、私が驚愕するDSTラインの性能とはこうだ。




ターン性能

 ターン性能が素晴らしいのは使ってみればすぐに分かる。イブニングの川で今まで使っていたラインのつもりでフィニッシュし、40ヤード先の暗くなった川面にフライが飛沫をあげてターンしてたのをみて、相当の音がしたから釣れる訳ないのに、「すげー」と驚いて独り言を口走ったほどだ。

遠投性

 ターン性能が素晴らしいことは遠投性にもつながることは分かるだろう。今まで届かなかった50ヤード先のポイントで、きっちり仕事をしてくれるのである。つまり、これまでのラインより5ヤードは飛ぶから、もしかして、おれはキャスティングがうまくなったか、と錯覚を起こすほどである。




一発でポイントに入るバランス

 対岸ぎりぎりのブッシュの下に、ハイテク装備の米軍機より精度よくピンポイント攻撃できる。これはまさに特筆ものである。私の場合は、今年になってこうした状況に数多く遭遇したのだが、フライはねらった40ヤード先のブッシュの下20センチ四方ほどのピンポイントに、ピシッピシッと正確に入る。思わず、「誰かみてくれ、このキャスティングの素晴らしさ」と、胸の奥にジーンとこみ上げるものがあったほどだ。




ラインを短くして遠投

 私の場合、シューテングヘッドは8m、9m、10m、11.5mと数多く持ち、ポイントに合わせて使い分ける。そして8mや9mの短いシューティングヘッドの出番も多いのだが、これまでのラインであれば、遠投したときラインがクシャクシャになって飛びオーバーターンを起す。しかし、DSTラインは見事にループを作って飛んでいくのである。

 この驚きを沢田さんに伝え、DSTラインのこれらの特徴はどうして起きるのか、を聞いたことがある。すると沢田さんは、今までのフライラインはハンマー投げのハンマーように、ラインの重量にたよって飛ばすから不安定であるが、DSTラインは弓矢の矢ように、重量にたよらず、いかにバランスよく飛ぶかを追求した結果なのである、と教えてくれた。私はハタと膝を打ったのである。