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'08  14年ぶりの魚信 サクラマス 63cm!
猫田 寅吉 (ねこたとらきち) 山形県在住  Torakichi Nekota in Yamagata 【Japan】
フライフィッシング歴28年 / サクラマス歴19年 / リリカルアングラーズ・メンバー
Torakichi Nekota Cherry Salmon
サクラマス釣りの原点ポイントで、14年越し、念願の63cmをゲット。
MY TROPHY | MY RECORD
魚種 Species サクラマス Cherry Salmon
体長 Length 63cm
体重 Weight 計測せず
フライ Fly & Hook Size バスタードシープ・ブラックとグリーンウイングのツートンフライ (オリジナル) on GT1/4+PT 1/4in with #6Treble Hook
ロッド Rod KS AR LANDLOCK
リール Reel KS SU SALMON I The 30th Anniversary
釣った日 Date of Catch 2008/05/31
釣った場所 Place of Catch in the River AKA
IMPRESSIONS

私の妄執ともいえるサクラマスフライフィッシングの原点。

nekota
朝、目指してきたポイントの前に立って川を見た。水位は川の防災情報のウェブで、大体予想はしてきた。

その日一番初めに入ろうとしたポイントは、昨年一昨年と私が入ろうと思ってそのポイントに来た時、すでに居たルアー釣り人が私の目の前でマスを掛け釣り上げたというポイントであって、つまりは私にしてみれば「私が釣るはずだった鱒を釣りあがって」ということになっているのであって、それが人は違うが二年も連続で見せ付けられるとどうにも悔しく、何で私は初めにそこに行かなかったのかと、自分を口惜しく思うのである。
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ということで、このポイントは『私が釣るはずだった鱒のいたポイント』なのである。

さて、その日の一番に『私が釣るはずだった鱒のいたポイント』の前に来た。釣り人は私がはじめてのようだ。しかし、ポイントの状況を見るとウェブ情報で想像していたより水位は低い感じだった。更に風は向かい風で強い。「これは、ちょっとな・・・」と心の中で思った。

下流のポイントを見た。ここの200M下流は山形のフライフィッシング専門店クリークの遠藤マスターが5日前にサクラマスを釣ったポイントだった。そこは大きなプールで、遠藤親父が釣ったときよりもかなり水位が低くなっている。完全にフラットになったその淵の開きの水面では、フライを流すのがかなり難しそうな気がした。
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そこで私は上流に目を移した。上流は瀬になっていて、そこは普段なら、この川のここにきたときにこれまで私が真っ先にやっていたポイントである。そこの瀬は、忘れることのないポイントで、私が14年前初めてサクラマスをヒットさせばらしたポイントである。そこでのその出来事以来、サクラマスを釣り上げることに執念を抱いた私である。

その日の、私の妄執の原点ポイント、瀬は14年前バラした時と似た水位状態のような気がした。
私のその日の一番目にフライを流すポイントは決まった。

川の状態・ポイントが、自分が釣をするために望む状況イメージに近いといつものことだがなんとなく「今日は釣れそうだ」「釣れるかも知れない」という気になってくる。

釣り場は対岸、下流に向かい、右岸から柳やアカシアの木をバックにリバースのアンダーハンドキャストだ。瀬は14年前とは少し変わっていて川岸は岸ぎりぎりまで木が繁茂してしまっていた。しかし、ポイントの流れはそんなに変わらず、流れの中に沈んでいる大石もなんとなく昔の通りのようにあるのであった。
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ロッドはランドロック。フローティングラインにタイプIIIを3.5M繋いだ11Mの改造ライン。ポイントの中間部手前に沈む大岩をクリアさせ、その下流に点在する沈み石の直前にフライをクロスさせることを思い描き、このタックルをチョイスした。

川中に立ちこみ、ラインを出した。そして自分に言い聞かせた。「来たら合わせない!」

瀬頭からフライを流し始めた。核心のスポットまではやはり何もなく、ついに核心のスポットにフライを通すところにきた。魚がその沈み石の前にいなければ、フライは石に取られる。魚がいれば必ずくる。そう信じて勝負の一投。

フライが問題のスポットに差し掛かった。そしてその瞬間、フライも、竿もラインもなにかに引っかり押さえ込まれた。間髪をいれずにモゾモゾと竿を持つ手に生き物が動く感触。

私は背中がゾクゾクした。「やっぱり来た」
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ロッドは曲がり魚がかかったところの水面が魚のもがきで乱れた。魚は水中で鈍い光を放ってきた。「グッドサイズサクラマス」と、私は確信した。

リールのドラッグはゆるめにセットしていたので、私は理想のファイトが出来た。SUサーモンリールの第8世代クラッチは絶対の信頼である。足元が不安定な分厚い瀬の中でのファイト。寄せてきたサクラマスを瀬の流れの強さに耐えながら、立ちこんだままランディングにかかった。一度ネットに治めそこなったが大事は無かった。

このポイントで14年ぶりのサクラマスのアタリ。そして獲った。私の脳裏でくすぶりつづけた悔しさの思いがこの日消滅したのであった。

釣り上げた魚にメジャーを当てると体長が思ったよりないと、なんとなく不満がわいた。しかし釣り上げたサクラマスは実際の体長よりずっと大きいように見えた。サクラマスは幅の広い鼻が曲がりかけたオスであった。