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'10  地磯で1尾目 ヒラスズキ 49cm!
内田 尚典 (うちだひさのり) 兵庫県在住  Hisanori Uchida in Hyogo 【Japan】
フライフィッシング歴19年 / サクラマス歴17年
Hisanori Uchida Seaperch
サイズは小さい。でも、念願の地磯でようやく手にした本命。嬉しさは格別。興奮のあまり、重量計測を忘れてしまった。
MY TROPHY | MY RECORD
魚種 Species ヒラスズキ Seaperch
体長 Length 49cm
体重 Weight 計測せず
フライ Fly & Hook Size イワシに似せたストリーマー・シングルフック3/0
ロッド Rod KS SS 1712D 海水仕様
釣った日 Date of Catch 2010/03/21
釣った場所 Place of Catch 黒潮が当たる地磯
IMPRESSIONS

「低気圧が来る。さあ釣りに行けよ!」

あれほど熱く通った北陸の大河に背を向けて。サクラマスの悩ましい視線、やさしい手触り、いい薫りは、神経の奥底に嫌というほどこびりついている。けどごめんな。今夜は、またいつ振り向いてくれるともわからないお前に焦がれる気分じゃない。巨岩を削る波の下で、奴が真剣勝負を待っている。

峠道から、濃い緑の樹海の先に見渡す黒潮の海は、すでに南風で波立ち、吹き飛ばされたしぶきが霧となって山肌を駆け昇っていた。

漁を休んだ舟が並ぶ小さな漁村に車を放り出し、サーフを突っ切り、山道を登り、息をぜいぜいいわせながら崖を下りた。岩が波に打たれる地響きが足元から伝わり、一瞬たじろぐ。竿先から伸ばしたフライラインが強風で真横にたなびくのを委細構わずサラシに投げ込む。最強ロッドに13番ラインの組み合わせはさすがにパワフル。80cmオーバーとも互角以上に渡り合えるだろう。しかし、いかんせん、ヘタクソで的を外す。波に揉まれて岩に引っ掛かる。決まった!!と思ったらランニングラインがライフベストに絡む。何分かに一回大きな波が来て、飛まつをかぶる。その繰り返し。

渓流のヤマメに似ていて、出るのはたいてい1投目。ミスキャストにも出るからたちが悪い。口を使わず、しゃちほこのように尾びれを見せて帰っていく。食い損ねているのか、見切っているのか。どちらにしても、何度も投げ直すほど期待は薄まる。

夜、風は強さを増し、激しい雷雨になった。2日目に計画していた沖磯への渡船宿に電話した。「この風では無理」と女将。昨年の再現は夢と消えた。

サクラマスは最初の5年間、アタリもカスリもしなかった。ヒラスズキは最初のシーズンから飛び出してきたのに掛からない。掛かってもバラし、地磯からは1つも捕れていない。先生役のルアーマンは「ルアーで数を釣って色々と分かってからのほうがいい」と助言してくれる。そうかもしれんなあ・・・

明け方、昨日とは別の磯に降りた。波は思ったほど高くはなく、周期が長い。釣りやすいサラシが広がるタイミングが多い好条件だ。フライをとっかえひっかえやっていると、イワシに似せたパターンに出た。掛からない。転々とポイントを移り2発目、3発目。今日はおる!!! が、やっぱり掛からない。アドレナリン吹き出る。もうダメかと思い始めた10時前。サラシがぶつかる岩と沈み根の間をきわどく通したフライがひったくられた。

磯の王者というには可愛らしいサイズではあるが、ようやくの一尾だけに嬉しさは格別。帰り道、小躍りしすぎて海に転落しないよう気持ちを抑えることばかり考えていた。

桜から新緑の季節はサクラ、ヒラとも最盛季。一路北か、それとも南か、決断に頭を悩ませる日が続く。
釣った日の天候 Weather of the day:強風
水量・水量の変化など The Volume of Water:ほどよいサラシ