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'04  アクアマリンでフッキング チャムサーモン 87cm,  15lb!
林 春生 (はやしはるお) 千葉県在住  Haruo Hayashi in Chiba 【Japan】
フライフィッシング歴30年
Haruo Hayashi Cham Salmon
SS1712D_Hを曲げた15ポンドのオスのチャムサーモン。アクアマリン・グリーンは口の奥にがっちり。
MY TROPHY | MY RECORD
魚種 Species チャムサーモン Cham Salmon
体長 Length 87cm
体重 Weight 15lb
フライ Fly & Hook Size アクアマリン・グリーン on SL2 Single Low Water #6
ロッド Rod KS SS 1712D Limited HARD ACTION
リール Reel KS SU Salmon II
釣った日 Date of Catch 2004/11/11 11時頃
釣った場所 Place of Catch 請戸川(福島県)
IMPRESSIONS

その日までのこと

初めての国内サーモンフィッシング。私は非常に緊張していました。準備は10数年前よりしていたのですが、海外赴任になったり、諸事情でチャンスがありませんでした。しかし今回は抽選にも当たり、ようやくその日がやってくることになりました。

サーモンを釣るなら絶対にフライで釣りたかったし、フランスでバンブーロッドを購入したりしました。が、色々調べてみると北関東のサーモンは大きく、パワーもありそうで、釣り場も広いスペースがあるわけではなく、優雅にダブルテーパーのラインで釣るには少しばかり無理があると判断。最新のロッドを購入すべく、沢田さんのお店へ行ったのでした。

沢田さんにサーモンを釣る意志を告げ、以前より使ってみたかったSS1712Dを手に取ってみました。ふと横に目をやると、1712Dの限定バージョン1712D_Hが・・・。大河川や河口近くではいつも風が強いし、条件が良い日ばかりではない。迷わずD_Hを購入しました。

沢田さんはそのグリップに「幸運を!」とサインしてくれました。また、私がタイプIIのラインしか買えないでいると、「これもお持ちになって下さい・・・」と、なんとインターミディエイトのラインをサービスしてくれたのです。「タイプIIとインターミディエイトがあれば、ほとんどのフィールドでOKですから」と。涙が出ました。

挑戦の日まで3週間ありました。土日は初めてのSS1712D_Hでキャスティング練習をしました。何とこのロッドはフォルスキャスト無しでいきなり40ヤードのラインを飛ばしました。陸上ではありますが、こんなに飛ぶとは・・・。本当にびっくりしました。遙か彼方に、ウォディントン25ミリに巻いたフライがあっと言う間に飛んで行きます。これならあの淵も、この淵も、みん俺の物だ!!と、既に釣った気分になっていました。練習中に台風の日もあったのですが、このロッドは思いのままにナローループを作り出せるので、全く関係なくフライを飛ばせました。凄いロッドです。

当日


さて、当日となりました。請戸川は幅100メートル近くあり、釣り場所は河口より100メートル。大きくカーブしていて手前に流心があって、沖はかなり浅瀬。あちらこちらで巨大なサーモンがペアリングしています。こんな状況は初めてでしたので感動しました。

「これだけいるなら今日は楽勝か!」と思ったのですが、漁協の方に聞くと「もうシーズンも終わりでサーモンは口を使わない」「昨日は4人ボウズ」「釣りたいならルアーにサンマの切り身を付けてね!」「フライは無理!」と言われました。一通り説明が終わると、他の皆さんは走って釣り場確保へ。私はついて行けず、空いている場所へ入りました。

川はゆったりと大きく流れています。手前側がチャンネルになっていますが、どうも浚渫してさらに深くしてある模様。10メートルも投げると流心をまたいでしまって上手くフライが泳がない感じです。対岸からなら有利と思われましたが、こちらの岸のみが釣り可能なので、仕方なく始めました。

10メートル間隔で人が立ち込んでいますので、ダウン&アクロスに投げることが出来ず、とても難しい・・・。流れもかなり重く、タイプIIでは全く駄目。タイプIVに変えましたが、まだフライは十分沈んでいません。更にショットを付けました。対岸めがけて投げていますのですぐにドラッグが掛かってしまい、とてもやりにくいです。

しかし10分くらい続けていると、フライラインが止まりました。一呼吸置いて様子をうかがっていると、グングンと頭を振るような感触があります。ロッドを立てると同時にギーッとリールからラインが出て行きます。凄いパワーです。これがサーモン!?

あっという間に50メートルは走りました。リールが逆転している間は自由に走らせ、止まると同時にポンピング開始。巻いたり出されたりを3~4回ほどした後、75センチ、3.0キロのメスが釣れました・・が、スレでした。が~ん。これでは釣ったことになりません。でもとても美しい魚体に満足。気を取り直して再度挑戦!!

またラインが止まりました。今度はスレかどうか? やっぱりスレです・・・。流し方が悪いのか、フライチョイスが悪いのか。70センチ、2.8キロのメスでした。今度は口へかかれ!! とまたキャスト。次の魚もスレです。しかも魚体に他のフライやらルアーやらが引っかかっていました。かわいそうになって全部取り外してリリースしてしまいました。「あっ、リリースしてはいけないのに・・」

またしても


フライをもっと小さくしようと、SL2の#6に巻いたアクアマリンに変更。もう少し沖目を流します。すると、ドン!! ギーッ!! と凄いアタリ。ロッドがのされてあっという間に100メートル走りました。今までとは明らかに違う引き・・。スレかどうかは判りませんが、ていねいにやりとりします。が、全然パワーが落ちません。魚も見えません。ポンピングしてもロッドが曲がるだけで寄って来ません。しょうがなく、体重をかけて寄せます。10メートルまで寄せますが、すぐまた走り出し、100メートル以上上流の流心でだんまりを決め込んでいます。
スモーク中のサーモン。

周りの人に謝りながらやりとりするものの、とうとう上流の人とおまつり。切れてしまうのかと思いきや、何とかはずれました。その人は上がってしまいました。それにしても全くバテる様子がありません。引きも違和感があり、スレのような・・・。何とか全体重をロッドにかけて(こんなに体重をかけても大丈夫なのか?)寄せてみました。フライラインがガイドに入り、丸太ん棒のような魚が見えます。が~ん! やっぱりスレです。背中にがっちり。これではいつまでたっても釣れない訳です。

サーモンは私を見ると走り出し、また100メートル先に行ってしまいました。この時点で、恥ずかしながら30分経過。私の体力も限界に達し、座り込んでしまいました。周囲の人達が集まってきて、「ロッドが折れるー!」「がんばれ!!」「ラインを切った方がいいのでは?」等々声援が聞こえますが、正直、この魚、捕れないのでは・・と思いました。でもここまでやって逃げられるのは悔しい。もう一度全体重をかけてロッドを曲げて、リールを巻き始めました。

ギャラリーの方が大きなネットを持ってきてくれて、何とかネットに誘導。「うあー大きい!」「フライを口にさし直して写真を撮ろう!」「並んで写真撮らせて!」など、皆さんに祝福されましたが、複雑な気持ちです。85センチ、5.5キロのオスでした。魚体は大変精悍で、30分ほど見とれていました。日本にもこんなに立派な魚が遡って来るのかと思うと、大変嬉しくなりました。

チャンス!!


周りの人が帰り出しました。あまり釣れている様子はありません。やはり11月に入ると難しいようです。風もアゲインストで吹いてきました。でもチャンスです。両隣に人がいなくなったので、ダウン&アクロスで投げられます。流れに対し、45度に投げ、丁寧に流して行くと、コンコンと軽いアタリが・・。ラインが下に流れるのを待って、合わせてみると、ドン!!ギーッ!!リールがけたたましく鳴ります。丸太のような巨体がジャンプ!

やった! フライは口の奥に掛かっています! 遂にやりました。サイズも最大です。150ヤード引き出されました。でも、余裕です。先程、全体重をかけてやりとりしていたので、限界が判っています。4~5回、寄せては走られを続けると、今度はラインを体に巻き始めました。サクラのようなサーモンです。それをどうにかいなして、ネットに入れました。
樹脂で作ったサーモン。

やりました。とうとうやりました。嬉しい。本当に嬉しい。87センチ、6.7キロ(約15ポンド)。オスのチャムサーモンです。漁協の方も、「これは今朝遡った色だ」「この時期でこのサイズは珍しい」「たいしたもんだ」と褒められ、拍手も受けました。

こうして、私のサーモン初挑戦は終わったのでした。帰宅してから、記念のサーモンは石膏で型を取り、樹脂を流し込みました。身は12時間かけてスモークにし、会社の仲間と分かち合い、楽しみました。これも沢田さんのアドバイスのおかげと、大変感謝しております。有り難うございました。