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'18  望外の結果に、思わずほくそ笑んでしまう。 サクラマス 58、61、59、40cm!
梅田 大輔 (うめだだいすけ) 奈良県在住  Daisuke Umeda in Nara 【Japan】
フライフィッシング歴23年 / サクラマス歴11年
Daisuke Umeda Cherry Salmon
MY TROPHY | MY RECORD
魚種 Species サクラマス Cherry Salmon
体長 Length 58、61、59、40cm
体重 Weight 計測せず
フライ Fly & Hook Size Aquamarine Green on PT 1-1/4in,
Pheasant tail on TD4-#6, TD2-#8.
リール Reel SU Salmon 1 green or burgundy
フライライン Fly Line Flatbeam Super 35lb + I/II line & F
釣った日 Date of Catch 2017/3/16、5/20、5/23、5/24
釣った場所 Place of Catch 九頭竜川
IMPRESSIONS

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2016年、九頭竜川は空前のサクラマスラッシュだった。 
周囲の釣果報告を聞く度に羨ましく思っていたが、奮闘虚しく遂に一匹の釣果も得られずシーズンを終了した。
明けて2017年。 事情により3月から自由の身となった私は、今年こそは(今年が最後かも・・・)と思いながら解き放たれたように福井に向かう。

3/16(木)曇天 
釣り始めて数日が経過していたが、未だサクラマスからのコンタクトはなかった。
今日は曇りから少雨の予報。 曇った寒い朝だが8時頃にポイントへ向かって歩き出す。 目指すは解禁直後に友人が釣果を得たポイントだ。 普段なら必ず先行者がいる人気ポイントだが、今日は対岸のテトラ上にも釣人はいない。 「今朝は手付かずか。」と期待は高まる。 
渇水期であり対岸に沿って流れる流心は細い。 流心と岸辺の間は下流にかけて広い緩流帯がある。 この日、実戦で初めてスペイキャストに挑戦しようとタックルを変えていた。 拙いキャストでもフライは着水と同時にラインと同調して欲しい。 思案の結果、思い切ってリーダーを矢引き(約80cm)とした。
微風の中、順調にキャストを繰り返す。 アクアマリンは着水直後から流れの中を泳いでいるはずだ。 釣り始めてから10mほど釣り下ったろうか、投じたフライが流心から緩流帯に差し掛かる頃、リトリーブを開始した3手繰り目、その引手が止められた。 一瞬、何事かと思ったが引手が更に引かれ、20m程先の水面に銀色の魚体が見えた。「久しぶりのサクラマス。バレてくれるな!」と心の中で叫びながらのファイトだった。 数分後、砂地に横たわったのは58cmの美しいサクラマス。 アクアマリンはすっかり口の中に仕舞い込まれていた。
リーダーの長さについて考えさせられる結果だった。

この時、以降2ヶ月もの間、全く釣れない日々が続くとは予想もしていなかった・・。

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5/20(土)晴天
今回は2日前から来ているが、晴天が続いており急速に水温が上がり始めていた。 更にフライでのキャッチを目撃したため、これまでにない状況の好転を感じていた。
週末だけあって多くのアングラーがいたが、夕方には希望のポイントに入ることができた。 先行者との距離を測りながら、止まったように緩やかな流れにウェットフライを流してゆく。
入川早々に対岸のアングラーから悲鳴が上がる。 バラしてしまったようだ。 彼には気の毒だが魚の活性があることに期待は膨らむ。
そして、「遂に当たり!」と思うが25cmほどのウグイだった。 川全体の活性が上がっているのだろう、ウグイも活発だ。 気を取り直して釣り下る。
辺りが薄暗くなる頃に再び小さな当たり。 先ほどのウグイと同じコンコンと小さな魚信に「さっさと外れてくれよ。」と思うが外れてくれない。 仕方無しにランニングラインを手繰ると抵抗なく着いてくる。 フライラインがロッドティップに入った辺りで水面にやや大きな魚体が見えた。 ニゴイだったか・・・。 結局、手繰り切るまでフックが外れることはなかった。 忌々しく思いながらリーダーを掴みグイッと魚の顔を水面に引き上げた時、その顔にギョッとした。
「ニゴイの顔じゃない・・。 ます???」
慌ててリーダーから手を離すと、釣られた事に気付いたのかサクラマスは暴れ狂った。パニック状態の私と疲れ知らずパワー100%のサクラマス。 彼我の距離は僅か数メートル。 慌てたままランディングネットに手を掛けるが、掬えるはずはないと思い直した。
「自分、落ち着け。」
すぐ側で暴れるマスを気にしつつ、「絡まるな〜。」と念じつつ、垂れ流したフラットビームをマッハの速度で巻き取る。 次に巻き取ったラインを引き出させ魚に疲れてもらう。 少し冷静さを取り戻しつつあったが、周囲はすっかり暗くなりランディングを更に難しくさせていた。 互いに半狂乱ではネットに入れる自信はない。 辛うじて見える岸辺にサクラマスを誘導し、半ば押さえ込むように引き上げた。 自己レコードの61cm。 初めて1シーズンに複数釣果を得た瞬間だった。

ウグイやニゴイと思い込んだためにリーダーを掴む失態。 魚を確認するまで決して油断してはならないとの教訓を得た。(以後、前代未聞のランディングと大いに笑われる事となった。)

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5/23(火)晴天
予定では前回20日が今シーズンの最終日と決めていた。 明後日に引越し日を迎える。 が、状況の好転が私を狂わせる。
「1シーズン3匹目、イケるかもしれん・・。」
「もう一日だけ・・・。」
ダンボールの山から逃避し、午後から再び九頭竜川に向かった。

思いのほか早く到着し夕方の釣りができそうだ。 前回のポイントに向かうと知人が準備を始めるところだった。 「先行して良いよ。」との申し出をありがたく受ける。
僅かに減水しているようだが、前回の再現かと思うほど状況は酷似していた。 早めに入川しゆっくりと釣り下る。
夕暮れまで後少し、対岸のフライマン氏がボンヤリ霞んで見える頃、それは突然やってきた。 ラインが下流45度付近を流れ下っている中、当たりとは感じないとても小さな違和感、それはフッとした「抜け」とでも言おうか、ともかく此方がハッキリと察知するよりも前に突如サーモン1が聞いたこともない悲鳴を上げて逆転を始めた。 水面に張り付いていたラインが水飛沫を上げて走り出す、もの凄い勢いでフラットビームが飛び出してゆく様をロッドにしがみ付きながら眺めた。
ソレは対岸下流に向けて疾走した後、岸際で踵を返し、今度は上流に向けて白波立てて駆け上がった。 対岸のフライマン氏のすぐ下流まで到達したソレは、最後に一発ジャンプして水中に没したのだった。
ここまで僅か数秒の出来事である。 頭の中、真っ白・・・。

後続の知人からの「今の何!!」の叫びに我に帰った。 返答する余裕はない。 あれだけの逆転でもサーモン1はバックラッシュしていない。 対岸に向かったラインには僅かに抵抗がある。
「まだ居る!」
実はこの時、前回と同じ過ちを繰り返していた。 最後のジャンプを見てスズキだと思ったのだ。 だがスズキとてフライでは初めて掛ける魚だ。 これは大事に取っておこうと慎重に対処したのが幸運を呼び込んだ。 当初の暴れぶりとは裏腹にソレのファイトは大人しかった。 さすがに近距離に入ると再び抵抗したが、先程の暴力的な力は既にない。 ネットを入れようとした瞬間、異変に気付く。 スズキではなくサクラマスだったのだ。 もう一周させて慎重にネットイン! 59cm、見事な体躯のサクラマスだ。 今期目標だった3匹目である。
ところが余りにも激しい展開に興奮極まった私は、ネットイン直後から脚はガクガクと震え、足取りおぼつかず岸辺にへたり込んでしまった。 これまで体験したサクラマスとは全く違う。 これほど激しい出方をする鱒が居ることを知った。

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5/24(水)曇天
興奮冷めやらぬ中、今期2度目(?)の最終日を迎える。
朝7時、瀬頭に立っていた。 最後くらい早朝の釣りをしてもいいかと早起きしたのだ。(いつもならコーヒーを飲みながらボンヤリと予定を立てている頃だ。)

ところが釣れるのだ。
まず尺上ヤマメが挨拶にきてくれた。 渓流なら小躍りして喜ぶサイズだ。 記念撮影の後、一つ下流の瀬から先行者が上がった事を確認し、その瀬頭に立つ。
釣り始めて程なく対岸下流をスイングしていたウェットフライが押さえ込まれる。 スイング中の当たりとしては理想的。 しっかりラインが引かれてから合わせを入れると、パワーは小さいながらも抵抗がある。 まさかの4匹目!
何度かラインを引き出させながら緩流帯に誘導したのは、40cmと小柄だが精悍な顔つきのサクラマスだった。


以上が今シーズン、九頭竜川で約30日を釣った釣果の全てである。
今シーズンも昨年同様の釣れ具合を期待していた。 が、川に立ってみると全く期待を裏切られた日が多かった。 中々結果が出ず苦しんだが、終わってみれば望外の結果となりました。

この釣りに引き込んでくれ、釣り方を教えてくれた諸先輩方、共にキャスティングを練習し、語り合った友人達にこの場を借りて感謝します。

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