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TRAVELLER

野生のモンゴル

沢田賢一郎

10月1日 銀世界

翌10月1日、時計の音で目が覚めると、直ぐにカーテンを開いた。空にこぼれんばかりの星が瞬いている。昨日までの雪が嘘のようだ。
すっかり晴れ渡った空。雪が眩しい。

目的地の天候を確認すると、ヘリは飛び立った。我々の最初の目的地はウランバートルの北東約400kmにあるオノン川のキャンプ場だ。所要時間は約2時間弱。予想していた通り、眼下に広がる景色は最後まで白一色に埋め尽くされていた。

午前11時頃になって、我々は漸くキャンプ場に舞い降りた。ヘリを降りると、いきなり凍った風が吹き付けてきた。ウランバートルとは大違いだ。気温は零下5度だったそうだが、風に吹かれるとかなり厳しい。平野氏と思わず顔を見合わせてしまった。悪い予感が当たって、とんでもない所へ足を踏み入れてしまった。これは釣りどころか、川に近づくことさえ難しそうに思えてきた。
ヘリからS字を描いて流れる川が見えた。一見してどちらが上流だか判らない。

キャンプ場はオノン川を見下ろす丘の上にあった。ゲルというモンゴル独自のテントが幾つか張ってある。初めて入るゲルは頗る快適だった。中にある薪ストーブのおかげで、外がどんなに寒くても全く気にならなかった。

しかし我々は雪山でテント生活を楽しむため、はるばるモンゴルまでやって来た訳ではない。私は自分にそう言い聞かせながら、釣りの支度を始めた。
ヘリから見たオノン川。

オノン川キャンプ場に向かって降下する。まるで南極の基地に降りるようだ。

ヘリから降りた途端に寒風が頬を刺す。前途に不安がよぎる。

初めてのゲル。外は寒くても中は快適だ。

ヘリが帰ってしまうと心細くなる。

大型のゲルで朝夕の食事が提供される。