www.kensawada.com
TRAVELLER

野生のモンゴル

沢田賢一郎

10月2日 オノン川上流へ

午前8時半、キャンプ地から40kmばかり上流のポイントを目指して出発した。2時間弱で到着する予定だったが、積雪のため峠越えに難渋してしまった。よくぞこんな所まで来たものだ。何度もそう思うほど酷いルートを辿り、2時間半を費やしてようやく目的の淵に辿り着いた。
雪で覆い尽くされた峠を二つも越え、上流を目指した。

そのプールは、前日に釣った岩盤のプールを10倍くらい大きくしたような形をしていた。その佇まいを一目見ただけで、釣り人なら誰でも武者震いするだろう。第一級のポイントに接した時の期待と、息苦しいまでの緊張が、我々をすっかり包み込んでいた。

水路のような流れが大きな岩盤にぶつかっていた。岩盤は平らでなく大きく波打っていて、その奥まった所に無数の流木が積み重なっていた。私は右岸から流心の上流側に出来た大きな渦を、平野氏は上流に迂回して流れ込みを狙うことにした。
流れが岩山にぶつかり、奥に流木が積み重なっていた。

私の狙った場所は岩盤にぶつかった流れが逆流して出来た、まるで鏡のようなプールだった。岸沿いに溜まった泡と、水面に出来た僅かなヨレによって、そこが大きな渦になっていることが判る。水面は静かで水深も2mほどしかない。

私はそれを確かめると、ラインをDSTのグリーズドライン・フローティングに換えた。