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TRAVELLER

モンゴルへのお誘い

平野秀輔

ヘルレン川におけるフライフィッシング

ツーリストキャンプから小一時間ほど、タルバガン(モンゴルのプレーリードック)や放牧の動物の群れを眺めながら4WD車で移動すると、現地ガイドのお勧めポイントに着いた。広い草原の中を川がゆったりと流れていく。しかし日本での予想を良い方向に裏切り、そこを流れる水はまるで岐阜の高原川の様に澄み切っている。車を止めた右岸側に流れがぶつかり深さが1m半、長さ25m程の妖しい流れが出来ている。当然最高のポイントだろう。
43cmのレノック

強烈な太陽と、乾燥した空気のため、岸で写真を撮ると魚体の色がすぐに変化してしまう。美しい写真を撮るためには釣りたてを水に漬けてということになる。当然次回以降はもっと大物を狙いたい。SS9006Fはモンゴルでのドライフライとライトなパワーウェットに最適。訪れる方は是非ご用意を。

その少し上流の浅い場所を渡って左岸側に行けばバックキャストを妨げるものは何もない。そして見渡す限り誰もいない。最高の環境である。「これぞモンゴル」と中年になったのに小躍りしながら右岸の土手の上を歩き、澄み切ったエメラルドグリーン色の流れの中を覗き込むと驚いた。何とレノックの水族館である。金色の魚体と赤い尾を振り回しながら悠然と餌を探している。気温は30度もあるが水温は14度と絶好である。

そそくさと用意をし、ビデオ撮影のため取り敢えずウェットではなくドライフライの釣りをすることにする。SS9006FにWF6F、リールは30周年記念のハニカムシルバー、リーダーはスーパードライの4Xをそのまま使い、日本の川でドライフライの釣りをする時にはいつもそうするように、スペントバジャーの#12を結ぶ。


日本の渓流でこの雰囲気だったらあっさり釣れるので、それ行けとフライを投げたが全く反応がない。流芯、その脇、対岸の弛みとそれぞれ5投ほどしたが、フライを見に来る気配もない。こんなに魚がいるのに。